もっと給料を上げてほしい。
あなたは自分の給料に満足をしていますか?
正直、就職活動中の方や、働いて間もない人には読んでほしくないです。一気に働く気が失せてしまいます。それくらいガツン!くる内容です。
さて皆さん。日本では、ほとんどの人が学校を卒業すると同時に当たり前のように、就職活動をし会社へ入社しますよね。
でも、給料の金額が決まる仕組みを理解していますか?
「どうしてこれだけ稼いでいるのに給料は上がらないのか?」
「なぜ売上が低い同僚や上司は、私よりも高い収入を貰っているのか?」
ぱっと言われても説明をできる人はあまりいないのではないでしょうか。この疑問を解決するには、理解しなければならないポイントが大きく分けて3つあります。
給料の金額を決める3つのポイント
さっくりと説明を致しますと、「労働力の価値」+「スキルの価値」+「プレッシャーや責任の重さ」この3つが給料を決めるのに最も重要な要素となります。
まずは労働力の価値が順に説明をしていきます。
※完全歩合制の仕事はこの限りではありません。
労働力の価値
労働力の再生産性=「明日も同じ仕事するために必要な費用」
「明日も同じ仕事するため」には、なにが必要ですか?
ゆっくり休むための家、食料、洋服、その他にも気晴らしのための飲み代など、ストレスを解消するための娯楽費も働くためには必要になってきます。
つまり、労働力の価値とは、明日からも働き続けるために必要な経費というわけです。この「労働力の価値」こそが給料のベースとなります。また、それはその国の物価や年齢に見合った額となるのです。
そんなことない!成果を上げている人は昇給をするし、転職したら給料が上がるじゃないか!と思った方もいるかと思いますが、それは「需要と供給」のバランスによって変化しているだけです。
成果が給料やボーナスに反映されることはありますが、そのときだけです。つまり思いっきりジャンプしているのに過ぎないのです。昇給にも反映されるかもしれませんが、成果に比べたらその金額は微々たるものではないでしょうか。成果が3倍だったら給料も3倍になりますか?なりませんよね。
▽本書より抜粋
おじさんの給料が高いのもそのためです。日本の給料の仕組みは一般的には年功序列です。そして一般的には歳を重ねる毎に家族は増えていきます。家族を養うための費用も、この「明日も同じ仕事するために必要な費用」に含まれるのです。
子供が生まれれば、必要な生活費は増えます。また、子供が成長していくと、手がかからなくなる代わりに、教育費などでよりお金がかかります。つまり「典型的な日本人」は、歳を追うごとに必要な生活費が増えていったのです。
〜中略〜
わたしの昔の職場には、「あのオジサンたちはなんにも仕事をしていないのに、自分たちより給料が高いのはおかしい」というような不満を言う若手社員がいました。
でも、くり返し説明しているように、給料は成果を出しているかどうかで決まるわけではありません。その「オジサンたち」の生活費高く「明日も同じ仕事をするために必要な費用」が高いから、給料が高いだけなのです。
私も社会人時代は、このような不満を持っていました。しかし、この構造を理解した後は、そういう不満は一切無くなりました。というより、諦めました。日本にいる以上はしょうがない。と。
スキルの価値
スキルとは、「その仕事するために必要なスキル」です。価値とは「そのスキル・知識の習得に費やす時間や労力の差」で決まります。
つまりどういうことなのかというと、ある2人の人物の仕事を比較してみましょう。
Aさんの仕事をするための知識をレベルAとします。知識の習得には100時間かかるとします。
Bさんの仕事をするための知識をレベルBとします。知識の習得には200時間かかるとします。
この場合、Bさんの方が「スキルの価値」は高くなります。
本書より抜粋。
レストランのシェフになるためには、長い間、修行をしなければなりません。その修業があって、初めてシェフとして働くことができます。つまり、その修業が「シェフとして働く」という労働力の原材料になっているわけです。なので労働力の価値には、日々のシェフの労働だけでなく、この修業期間にかけた過去の労力も含まれています。
〜中略〜
また、免許・資格がなければできない職業もあります。もし、その免許・資格を取るのに100万円かかったとしたら、かかったお金の分は、その仕事をするの労働力の価値加算されます。ただし、100万円かかって免許・資格を取得しても、初回の仕事でいきなり100万円全額を上乗せしてもらえるわけではありません。その免許・資格を考慮したうえで、その期間内で「100万円」を均等割にしたものが、労働力の価値に上乗せされるのです。
あくまで重要度は関係ないということも理解してほしいと思います。医者の給料は一般的には高いと言われていますね。年収1000万円なんてザラにいます。人が生きていくうえで重要な仕事だから。という理由だけではありません。
それを考えると平均年収が300万円と言われる介護士の仕事だって、人が生きていくうえでは重要度の高いです。老後にはほとんどの人がお世話になる確率が高いのですから。
給料を決めるための本質はあくまで、その仕事をするのに必要なスキル・知識を身につけるために費やした「時間」と「労力」の差です。
本書より抜粋。
医者の給料が高いのは、医者の仕事をこなすために膨大な知識を身につけなければならず、そのために長期間準備をしてきたからです。医者になるまでの準備が大変で、みんながそれを理解しています。だから給料が高いのです。
介護しの仕事は非常に重労働で、社会的意義も高い仕事です。しかし、介護士になるための準備は、医者になるための準備よりも少なくて済みます。
なるほど。と思いました。
住宅営業の給料が高いことや、医療向けの営業の給料が高いのはこのためですね。住宅営業は、休日出勤当たり前、顧客から電話が来ることも多いし、客の仕事が終わる夜から打ち合わせるするなども頻繁にあります。
医療向けの営業は、付き合いで飲みに行くことは多いし、ときには先方とゴルフをすることもあります。必要経費として給料が高いということですね。
プレッシャーや責任の重さ
「明日も同じ仕事するために必要な費用」には、プレッシャーや責任の重さによって生じる「気晴らし」に使う費用が含まれています。
「ひと月に数回は飲み行かなければやってられない」この費用も含まれているというわけです。他にもショッピングで気晴らしできたり、旅行に行って気晴らしをする人と様々です。
例えば医者の責任の重さは非常に高いといえます。手術を執刀しなければいけなかったり、医療ミスで訴えられたりすることもあるかもしれない。先ほど説明した医者と介護士の給料の差はこういったところにも現れているということです。
本書より抜粋。
これも「精神衛生を守るための必要経費」なのです。必要だからくれるだけであって、決して労働者が「がんばったから」「成果を出したから」くれるだけではありません。わたしたちの給料はこのように「必要経費の積み上げ」によって決まっているのです。
まとめ。僕達の給料ななぜその金額なのか?
いかがでしたでしょうか。
「労働力の価値」+「スキルの価値」+「プレッシャーや責任の重さ」という構造が、給料を決めるうえで必要だということを理解できましたでしょうか。
「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?」木暮太一
という本の第1章を、私が感じたとおり書評をさせていただきました。この本に出会ったときは本当に衝撃を受けました。
さて、皆さん。なぜ「こんなにも成果を上げたのに、給料は上がらないのか?」ということを少しは理解できたでしょうか。
実は、今回はまだ第1章に過ぎません。とても内容が濃い一冊なのでまとめるのが大変です。第2章も書くかもしれませんが、気になる人はどうぞ。